たーちゃん

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この時期、柿の木の根元には、大きくなれずに落ちた柿の実がたくさんある。


見上げる枝々には生い茂った葉に見栄隠れしながら、多くの青い実が連なり遊ぶ。


同じ実でありながら、あるものは赤く熟すまで枝にのこり、種を地に落とす。


が、あるものは、夏を迎えるのも待たずに、地に落ち朽ちてゆく。


そこには何の差も無く、混沌と云う秩序が存在するだけだ。





毎年、思い出す記憶がある。



















ロッキーがまだ幼稚園児だった昔。


近所に木下たつや君という幼なじみが居た。


1~2歳、ロッキーよりも歳上だった彼は、ロッキーの良い兄貴分で「たーちゃんたーちゃん」とひっつき歩くロッキーの面倒をよく見てくれた。


実際、ロッキー母もたーちゃんの事を実の息子のように扱い、子沢山の裏通りの路地で、兄弟のように育った。


はずだった。


が、たーちゃんはロッキーがまだ幼稚園児のうちに、西所沢駅前で交通事故に遭って亡くなってしまった。


うっすらとではあるが、色とりどりの花に飾られたたーちゃんが、棺の中に目を閉じている姿を覚えている。













なぜ、ロッキーではなかったのか。


なぜ、怪我ですまなかったのか。


それは誰にもわからない。



混沌という秩序の果てに残るのは、やりきれない事実のみだ。












この季節、柿の実を見ると思い出す。


辛い記憶だ。

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